鉄腕アトムは、優秀な科学者天馬博士が、自分の息子を事故で失い、
その悲しみを癒すため、当時の技術を集めて最高のロボット、
アトムを作ったのです。
博士はアトムを自分の息子と同じ、トビオと名つけ、
人間の子供と同じように育てていったのです。
アトムの優秀な電子頭脳は、もの凄い勢いで、いろいろな知識を
身に付け、優秀なロボット少年として育っていったのです。
ただ、唯一の問題は、アトムの身体が成長しない、という事でした。
アトムはロボットですから、知識を増やす事は出来るのですが、
物理的な成長をする事は無かったのです。
そんな天馬博士は、怒りの末に自分の子、アトム(トビオ)を、
サーカスに預けてしまったのです。
十万馬力のアトムはそのサーカスで、ロボットたちと闘い、
多くのロボットに勝利していました。
そして、ある時、ブロックを使って「美しい」形を作るという
競技に出場させられました。
相手は人間の子供。アトムはそのブロックを使って、アトムにとって、
最も美しいと思う形を作ったのです。
それは、正四面体でした。
一方、人間の子供はお城(だったと思います)を作ったのです。
当然、観客の人間たちは、子供が作った物が素晴らしい、
と評価したのです。
また、アトムの漫画にこんなエピソードもありました。
アトムが人間の友だちたちと、山に行き、きれいな花や草木、
美しい景色を見た時、人間たちはその美しさに感動し、
喜びを全身で表していたのでした。
ところが、アトムは花も、草木も、ただの物体、
「そのような形を持った生き物」という認識でしかなく、
感動を覚えることが無かったのです。
この話は、この後、哀しみや怖さという感覚を持つ機械を
体の中に入れるという物語に発展していくのですが、
そこまで書くと、ちょっと本題からはずれるので止めておきます。
そう、この二つのエピソードで、
人間とAIがどのように共存していくかのヒントになるのです。
ロボットやAIの持っている、情報収集能力、それの解析する能力、
それを利用する能力というのは、いずれ人間のレベルを超えると
思います。
また、ロボットの持つ力やその持続力は、
長時間の労働や過酷な環境の中で、その力を発揮する事でしょう。
では、人間は?
人間には感情があります。怒りや悲しみ、喜びという感情があり、
その感情が仕事する上で、人と人のコミュニケーションを取るのに、
重要な要素となります。
コミュニケ―ションが取れると、ロボットやAIに対する
プログラミングも、的確なものが出来、彼らを上手に使う事が出来ます。
また、人間の創造力、発想力は、どんなに学習を積んだAIでも、
敵わないと思うのです。彼らは、与えられた情報などを元に、
情報量を増やし、それを有機的に結びつけて、次の行動を起こします。
ですが、人間の持っている閃きのような能力は、
今の科学においては、作り出す事は出来ないと思うのです。
ですから、人間が閃いた事を、ロボットやAIに入力し、
それを元に何らかの行動を起こさせる、
それが、将来、人間と彼らとの付き合い方になると思います。
昨日の最初の話に戻ります。
自動配送車が、荷物を運んでも、その荷物を取り出すためには、
予めスマホに入力した情報を、車載の荷物ボックスに当てて、
鍵を開けて、取り出すそうです。
でも、そのスマホを持っていなかったり、使い方が分からない人には、
配送員という人間が、配達しなければならないのです。
また、その車まで取りに行かなければならない、
という問題もあり、お年寄りなどには、不便な点もあると思います。
そんな時こそ、人間の配達員の出番になるのです。
将来的には、そんな配達もロボットが出来るようになるかも知れませんが、
でも、ロボットには感情が生まれません。
(生まれたら、それこそ人類の破滅です)
配達した時の暖かい言葉のやり取りで、
人間としての心を豊かにすることが出来、
「気持ちの良い!」という感情が双方に生まれれば、
何か新しい閃きや創造力も生まれる要因になるのでは、と思うのです。
ロボットやAIが出来ると、人の仕事は減り、
怠け者が増える、などという事も言われています。
私はむしろ、その逆、ロボットやAIを上手く作動させるための
仕事多くなるのではと思うのです。
そして、もし、彼らに仕事を任せっぱなしにした時に、
ホーキング博士も言っていた、人類の破滅が訪れるのかも知れないのです。